研究課題/領域番号 |
11671247
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
島田 光生 九州大学, 医学部, 助手 (10216070)
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研究分担者 |
濱津 隆之 九州大学, 医学部, 医員
調 憲 九州大学, 医学部, 助手 (70264025)
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キーワード | 肝癌 / 臓器親和性 / 転移規定遺伝子 / 肝内転移 / エレクトロポレーション法 / differential display法 |
研究概要 |
【本研究の背景】 (1)サイトカインによる接着分子発現と肝内転移メカニズム解明: 肝臓の虚血・再灌流傷害が、肝転移を増強することを明らかにし、これがサイトカイン産生抑制薬や接着分子抗体などで抑制される可能性を明らかにした。 (2)血中・浮遊肝癌細胞の同定: 定量的RT-PCRの系を確立し、アルブミンmRNAを用いて担癌領域の肝静脈血中に肝癌細胞が存在することを報告した(Hepatology 1998:28:1663-8)。 【本研究の目的】 これまで常識とされてきた"肝癌の肝内転移は経門脈的に生ずる"という肝内転移形成メカニズムと異なり、"肝癌細胞が肝静脈→心臓→肝臓という全身血流経路により、肝に再び至り、肝癌細胞の肝への"臓器親和性"により肝内転移を形成する"という全く新しい概念を"臓器親和性"を規定する責任遺伝子を同定することにより明らかにする。 【今年度の目標・実績】 a:肝・肺への高転移株ならびに非転移株の作成 高肝転移株、高肺転移株の作成は終了し、現在、limiting dilution法による非転移株作成中である。 b:転移能の確認と腫瘍形成能の確認 転移能ならびに腫瘍形成能の確認は、aとともにすすめ、ほぼ終了している。 c:mRNAの分離、mRNA differential display法の確立 differential display法は、各臓器高転移株樹立とともに行っており、他のサンプルを用いたpreliminay studyは終了している。 d:エレクトロポレーション法を用いたvitroでのplasmidのtransfectionの確立 エレクトロポレーション法に関しては、マウス肝癌皮下モデルを用いて、IL-12遺伝子治療を行い、主腫瘍への直接効果ならびに微小の遠隔転移巣に対する効果を確認し、この結果をCancer Researchに投稿中である。 さらに、これら実験の過程で、histone deacetylaseが肝癌の増殖・転移に極めて関係が深いことも発見し、現在Nature Medicineに投稿中である。
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