【実験結果及び今年度の目標】 1.マウス肝移植モデル マウス同所性肝移植の手技はすべて顕微鏡下にておこなった。鎌田らのラット肝移植のカフ法を用いた。門脈と肝下部下大静脈はカフ法で吻合し、肝上部下大静脈は10-0 nylonにて連続縫合した。肝動脈は再建しなかった。胆管にはステントを挿入結紮固定した。マウスはレシピエントにB10.AKM、ドナーにB10.MBRを用いたところ、免疫抑制剤の投与なしでも移植肝は拒絶されず生着した。primateの免疫機構とrodentの免疫機構に若干の差を認め、実験モデルの変更を余儀なくされた。その結果、本実験のモデルとして免疫抑制剤の投与なしでは自然生着しないマウスの皮膚移植モデルを用いて実験を継続していく予定である。 2.移入細胞拒絶のメカニズムの解析 抗TCR-αβ抗体、放射線低線量照射、および骨髄移入を用い、MHCみマイナー抗原も異なるマウスfully-alloの組合せにおいて、皮膚移植片の永久生着をみ、ドナー特異的免疫寛容を誘導できた。自己の細胞でも異なるMHC抗原を細胞表面上に遺伝子導入した場合、拒絶されてしまう可能性がある。そこでまず、寛容誘導初期のメカニズムについて解析した。その結果、移入細胞拒絶には従来いわれていたT細胞のみならず、B細胞が関与ししていたことがわかった(現在論文執筆中)。レシピエント由来の細胞にドナーMHC抗原を発現させた細胞を用いてまずin vitroでの反応性をMLRを指標に検討する予定である。 3.遺伝子導入実験 レトロウイルスベクターを用いる前にpreliminaryにHVJリポソーム法にて骨髄細胞に遺伝子導入を試みたが、導入効率が悪くほとんど導入されなかった。現在、Adenovirusをベクターにしてリンパ球に遺伝子導入を試みている。
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