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本年度は、IFNγとCsAの併用による機序の詳細な解析と治療実験を計画目標とした。
(1)効果発現機序の解析:種々の培養癌細胞を標的細胞として行った。その結果、IFNγ刺激によりJAK/STAT系およびカスパーゼの活性化を介してアポトーシスを誘導する系が存在することが示唆された。しかし、同時に腫瘍細胞は、IFN-γ刺激により細胞内カルシウム濃度の上昇、カルシニューリン系の活性化を誘導し、NF-ATあるいはNF-kBの活性化を誘導する抗アポトーシス経路を有する可能性が明らかになった。CsAはこの抗アポトーシス経路を抑制することによりNF-ATあるいはNF-kBの核内移行を抑え、結果として抗アポトーシス分子の誘導が阻害され、アポトーシス系が優位となり、癌細胞はアポトーシスに陥ると予想された(投稿準備中)。
(2)治療実験:ヌードマウスに腫瘍細胞を移植し、CsA腹腔内投与とIFNg腫瘍内投与により、腫瘍縮小効果を確認したが、検討例数が少なく結論を出すには未だ至っていない。癌性腹膜炎患者にOK-432投与後腹水を採取し、in vitroにおいてCsAを添加した系では、腹水中にIFNγ(pg/mlレベル)が誘導された例においては腹水中癌細胞は高度のアポトーシスを呈した。
以上、12年度の計画については、ほぼ計画通りの結果を得ることができた。
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