研究課題/領域番号 |
11671258
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
八木橋 厚仁 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40260757)
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研究分担者 |
渡辺 直樹 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10158644)
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キーワード | 小腸 / 熱ショック蛋白 / 冷保存傷害 / 再灌流傷害 / Sodium arsenite / Quercetin / NO / サイトカイン |
研究概要 |
熱ショック蛋白(hsp-70)を誘導すると、冷保存傷害が軽減することから、この抵抗性の発現がhsp自体による直接作用か否かを検討した。体重200-300gの雄性Lewisラットを用いて以下の実験を行った。まず、Sodium arsenite(SA)処理でhspを誘導後10、20、30時間冷保存した小腸群(1)と、SA+quercetin処理によりhsp発現を抑制し、10、20、30時間冷保存した小腸群(2)および、無処理後10、20、30時間冷保存した小腸群(3)を作製し、冷保存傷害の程度を比較検討した。(1)群の10、20時間冷保存小腸では、明らかな傷害軽減効果が認められ、この効果はhsp自体による直接作用であることが示唆された。つぎに、SA投与後24時間目に3時間虚血再灌流した群(1')と、SA+quercetin処理によりhsp発現を抑制し、同様に24時間後に3時間虚血再灌流した群(2')および、無処理後24時間目に3時間虚血再灌流した群(3')を作製し、再灌流傷害程度を検討した。(1')群のみに再灌流傷害軽減効果が認められ、この効果はhsp自体による直接作用であることが示唆された。また、(1')群で、NO、TNF、IL-8の産生抑制、IL-10の産生亢進が認められ、(2')群では逆にIL-10の産生が抑制されたことから、hsp誘導による小腸の再灌流傷害抵抗性獲得機序に、サイトカインおよびNOが関与していることが示唆された。一方、培養小腸粘膜細胞(IEC-18)を用いて、予め温熱刺激(43℃30分)によりhspを誘導し6時間培養後、10、20時間冷保存し、傷害程度を比較検討した。培養小腸粘膜細胞を用いた実験においても、hsp誘導による冷保存傷害抵抗性獲得が認められた。
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