研究概要 |
MRIは膵癌の有力な画像診断法であるが、小病変の検出能は不充分である。磁性鉄はMRIの磁場の中で高い磁化率を示すためT2強調画像で著しい低信号を発すると考えられる。この磁性鉄が膵癌組織だけに集積すると膵癌組織と他の組織とは明確に区別できると考えられる。 従来のMRIの造影剤は標的組織に受動的に取り込まれる性質を応用しているが、本研究では膵癌に能動的に取り込まれる造影剤を開発する。本研究は独自に開発したキメラ化A7Fab-Lignositeにより、膵癌組織を能動的に描出するMRIの造影剤の開発する点が特徴的である。磁性鉄Lignosite FMLはGeorgia-Pacific West,Inc.(U.S.A.)から購入し、キメラ化A7-Fab分画とLignosite FMLとでsonicationにより複合体を作成する。超遠心によって複合体と非結合キメラ化A7-Fab分画とを分離した。 キメラ化A7Fab-Lignositeを^<125>I標識してヒト膵癌移植ヌードマウス内の分布を検討した。さらにキメラ化A7Fab-Lignositeをヒト膵癌移植ヌードマウスに投与してMRIで撮影した。その結果、キメラ化A7Fab-Lignositeは腫瘍に多く集積したが、肝臓や脾臓などの正常臓器にはあまり集積しなかった。実際のMRI画像では腫瘍が描出された。以上より、キメラ化A7Fab-LignositeはMRIの造影剤として有望であると考えられた。
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