用手的にマイクロカプセル化を用い、被マイクロカプセル化ラ島数の多寡による相違を検討した。また、Balb/cマウスの同系移植を行い、隔離膜の生体適合性をin vivoにて検討した。 (1)少ないラ島数に実験;Balb/cマウス膵より、コラゲナーゼ消化法・ファイコール密度勾配遠心法にて単離し、2000個のラ島を得た。(2)多いラ島数の実験;新生仔ブタ膵より、Korbuttらのコラゲナーゼ消化法・組織培養法にて単離し、50000個のラ島集塊を得た。(3)被マイクロカプセル化ラ島の多寡による回収率;(1)、(2)で得たラ島を用手的にマイクロカプセル化ラ島を作成し、前後のラ島数を算定した。(4)in vivo同系移植実験;レシピエントは8週齢のBalb/cマウスにアロキサン投与し、随時血糖が20mM以上のとき糖尿病と判定し用いた。岩田らの方法を用い5%アガロースあるいは、5%アガロース/5%PSSaにてマイクロカプセル化ラ島を作製し、腹腔内に移植した。移植後血糖値が11.1mM以下のときグラフト生着と判定した。【結果】回収率は、(1)では100%、(2)では30%から55%であった。一方、マイクロカプセル化ラ島同系移植では、非マイクロカプセル化ラ島同系移植と同様に、5匹全例30日以上の長期生着が認められ、アガロース膜によるラ島傷害効果は認めらなかった。 以上より、レシピエントの正常血糖をえるために多数のランゲルハンス島を必要とする大動物での移植実験では、ラ島の高回収能を有する高性能バイオ人工膵が必要と考えられた。
|