【方法】PCR法によりヒトEGFcDmを増幅し、そのN末端部分とあらかじめクローニングされたヒト膵RNase-cDNAのC末端部分を結合させ、発現ベクターに組み込んでプラスミドpRNEGFlを作成した。これを宿主大腸菌BL21DE3株で発現させ、精製して融合タンパクhpRnase-EGFを得た。ラットの胸部大動脈、CABG時に採取したヒトの大伏在静脈および内胸動脈由来の血管平滑筋細胞をout growth法により培養し、得られたサンプルを投与して増殖抑制効果を評価した。評価の方法としては、96穴プレートに各穴5000の平滑筋細胞をプレーティングし、24時間後にサンプルを加え72時間培養後標識サイミジンの取り込みを指標とした。 【結果】ヒトRNase・EGFは対照として用いたEGFレセブター非発現細胞の標識サイミジン取り込みを抑制しなかったが、EGF過剰発現細胞の標識サイミジン取り込みを抑制した。また、ラットの胸部大動脈平滑筋細胞およびヒトの大伏在静脈および内胸動脈由来培養平滑筋細胞の標識サイミジン取り込みを濃度依存性に抑制した。 【結語】EGFレセブターを分子標的としたヒトRNase・EGFによる新しい抗血管新生治療の可能性が示唆された。
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