研究概要 |
A.内視鏡的粘膜切除術(EMR)の適応拡大に関する検討. ◇m3・sm1の160例を検討して,術前の内視鏡検査で、0-I型、0-IIc+IIa型、0-III型、あるいは腫瘍径が4〜5cm以上あるものや表層拡大型には外科的根治術を適応する。この郡にm3・sm1郡の中でリンハ節転移を有するものの82%が含まれる。これ以外の症例にはEMRを施行してみるが、この郡にはリンパ節転移を有するものの18%が含まれるに過ぎない。中分化型扁平上皮癌でinfβly(+)、infγ、低分化型扁平上皮癌には外科的根治術にconvertするとsensitivity100%となり、過半数がEMRで治療されることになる。 ◇m1・m2症例では、腫瘍径5cm以上、全周性のものにもEMRを適応可能となった。 ◇EMRは435例650病巣に施行している。手術死亡や在院死亡はなかった。 ◇m3・sm1でリンパ節再発6例に認め、化学・放射線療法を施行したが、4〜6カ月後に全例死亡した。 手術治療をし得たものはなかった。 B.放射線・化学療法の根治性に関する検討 ◇表在癌10例に施行し、長期生存例は1例18カ月で、その他は4〜18カ月平均8.3カ月で死亡された。 C.食道表在癌の生物学的悪性度に関する検討 ◇p53はm1・m2の早期癌から出現している。 ◇Ki67,FacterV IIIの検討から、癌が粘膜筋板に達する頃から増殖能を獲得し、血管新生が起こって、急速に増大進展するものと思われる。また、その頃から癌細胞の種々の分化やheterogenityも出現してくるようである。
|