研究概要 |
加齢に伴う早郭胃癌の発生増殖に高ガストリン分泌環境が関津していること、進行胃癌において高ガストリン血症群が低ガストリン群より予後が不良であること(特に、低分化型癌においてその傾向が強く、ガストリン値が予後因子となる可能性があるう、癌遺伝子産物やEGF, EGFR, PCNA, Ki-67の発現が高ガストリン群が低ガストリン群より有意に亢進していることを確認した。 また、胃癌組織におけるガストリン受容体遺伝子の発現をRT-PCR法を利用し47例中5例の腫瘍においてその発現が認められ、臨床病理学的な検討から、高ガストリン分泌環境と腫瘍におけるガストリン受容体の発現が腫瘍増殖能や悪性度に影響を及ぼしている可能性も指摘した。さらに、基礎的に、モルモット胃の幽門洞粘膜からPercoll密度勾配遠心法で得られた分画を用い、G細胞の単離、初代培養系を作成し、サイトカインの刺激実験を行い、炎症性サイトカイン(IL-1β,TNF-α,IL-8)がG細胞よりガストリンの産生、遊離を有意に促進したことも確認し、ガストリン分泌が炎症状態や担癌状態のReactant(生体反応物質)となる可能性も指摘した。これらの結果から、内因性のガストリン分泌が胃癌の増殖能や病態を考える上で重要であると考えられた。
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