研究概要 |
70歳未満で、重篤な合併症がなくStage IVを除く胃癌胃全摘例を対象とし、再建別に術後どのような栄養学的な差が生じるかにつき検討する。再建術式としてTreitz靭帯より20cm肛門側で空腸を切離後、以下の3群(各群10例)を設定しprospective studyとする。 1群:約30cmのsingleの空腸を食道と十二指腸との間に間置する。 2群:約20cmの空腸pouchと10cmの空腸導管を食道と十二指腸との間に間置する。 3群:従来のRoux-Y法にて再建する。 術後3、6、12、24ヶ月に愁訴、食事摂取量、体重、就労状況につき問診し、血清中の栄養学的指標として、total protein(TP),albumin(Alb),total cholesterol(T chol),triglyceride(TG),phospholipid(PL)および体内で合成されない多価不飽和脂肪酸濃度(ω6,ω3,ω6+3)について測定する。 術後愁訴に関しては3群間に差はみられなかった。食事摂取量は2群(pouch造設群)が最も良好であり、1群と3群との間では差を認めていない。体重の回復に関しては、3群とも88-90%前後で差はみられなかった。血清中のTP、Alb値では3群間に差を認めず、また術前値との比較でも各群とも術後変動はみられなかった。T cholに関しては、各群間に差はなかったが、各群とも術前値に較べて有意に低値を示した。多価不飽和脂肪酸の測定(術後6-12ヵ月)は、ω6系及びω6+3系脂肪酸濃度に関しては、十二指腸を通過する郡に高い傾向を認めているが、症例数が少なく有意な差には至っていない。3群ともT chol値が低い症例は、多価不飽和脂肪酸濃度も低い傾向がみられたが、正常範囲を逸脱した症例はみられなかった。
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