1)生理学的検査の方法論的確立 直腸肛門機能の客観的評価に必要な内圧検査と解剖学的評価に用いるdefecographyを行うための設備と備品を購入し、整備した。これらの器具を用いて、直腸癌で低位前方切除術を受ける患者と大腿薄筋移植の対象となる患者に対し、術前と術後に検査を施行し、データを蓄積している。具体的には、内圧検査では肛門内圧、直腸肛門反射、直腸感覚を測定するとともに、電気刺激装置を用いて肛門粘膜の刺激閾値も評価している。解剖学的評価ではdefecographyで直腸肛門角、肛門管長等を指標として測定している。 2)術式の確立と対象患者における術前の精神的評価 対象となる直腸癌患者にあらかじめインフォームドコンセントを行い、手術の意義を十分に理解して頂いたうえで、移植大腿薄筋弁を用いた会陰部の新肛門再建を現在まで4例施行した。このうち3例は電気刺激装置も皮下に埋め込み、コンソールプログラマー(モデル7432)(メドトロニック社)を用いて定期的に電気刺激装置の条件設定を変え骨格筋の形質を変化させた。 また、この手術の対象となりうる患者の精神的評価をするため、直腸癌患者で過去に腹会陰式直腸切断術を受けて腹部に人口肛門を有している患者と、直腸癌の術前患者を対象として面談によるアンケート調査を行い、結果を得た。 以上の結果については、随時学会および研究会で報告し投稿中である。
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