研究課題/領域番号 |
11671299
|
研究機関 | 国立小児病院(小児医療研究センター) |
研究代表者 |
絵野沢 伸 国立小児病院, 小児医療研究センター・実験外科生体工学部, 室長 (40232962)
|
研究分担者 |
三谷 匡 国立小児病院, 小児医療研究センター・実験外科生体工学部, 科技庁開放融合研究員
梨井 康 国立小児病院, 小児医療研究センター・実験外科生体工学部, 研究員 (60321890)
鈴木 盛一 国立小児病院, 小児医療研究センター・実験外科生体工学部, 部長 (00111386)
奥山 虎之 国立小児病院, 小児医療研究センター・先天異常研究部, 室長 (40177192)
|
キーワード | 子宮内胎児操作法(IUM) / 肝 / ラット / 遺伝子導入 / 胎児治療 / 羊膜細胞 / 細胞移植 / 細胞療法 |
研究概要 |
先天性遺伝子疾患の早期治療、根治療法を目的として、胎児に対する遺伝子治療や細胞移植療法は最も有効な治療法のひとつとして近年研究が進められている。本研究では遺伝子疾患の中でも特に肝の先天代謝異常症に対する治療法の開発を念頭において、ラットを用いて子宮内胎仔操作法による胎仔肝への遺伝子導入ならびに細胞移植に関する基礎検討を行なった。 まず肝への遺伝子導入効率が高いことが示されているアデノウイルスベクターの利用について検討した。アデノウイルスベクターを直接胎仔肝へ注入したところ、妊娠後期の胎仔に処置するほど出生時に高率に導入遺伝子の発現が見られた。その発現は産仔の発育とともに消失したが、肝細胞の分裂によるものか免疫システムによる排除かが考えられたが本年度の研究では明かとはならなかった。 次に細胞移植療法の有効性を検討するため胎仔肝へ直接細胞移植を試みた。細胞ドナーとしては初代培養胎仔肝細胞(同系)と羊膜細胞を用いた。しかしながらこれらの細胞ドナーの新生仔肝での寄与はみられず、成体での肝細胞の細胞移植とは異なる課題があることが示唆された。 最後に胎児治療による早期治療の延長として妊娠満期の胎仔を帝王切開でとりだし、臍帯からの細胞移植を試みた。臍帯静脈は肝臓の門脈系と下大静脈へと2分するため肝臓への細胞の定着が期待された。肝でも移植した細胞は取り込まれていたが、心でもっとも移植細胞の分布が多いことが確認された。しかしそれらの細胞は数日以内にほとんどが消失していることが明かとなった。これらの結果から移植した細胞の定着についての研究が課題ではあるが、本法は新生仔の心に対する細胞移植法のひとつとして利用できる可能性が示唆された。
|