研究概要 |
前癌病変と考えられる気管支扁平上皮化生のテロメラーゼ活性およびテロメラーゼ活性を制御しているHTERTmRNAの発現を検討した. 【対象と方法】LlFEによる蛍光内視鏡検査を施行した喀痰細胞診要精査,肺癌30症例よりの生検材料56病巣を用いた.同一部位を2度生検し一方は病理組織学的に検討,他方は採取後凍結保存した.テロメラーゼ活性は凍結標本より蛋白質を抽出TRAP法で定量値を求めた.hTERT mRNAの発現はReal-time PCR法によって測定した. 【結果】 正常気管支,気管支炎(N=22),扁平上皮化生(N=9),異型偏平上皮化生(N=17),扁平上皮癌(N=8)におけるテロメラーゼ活性は,6.2±7.5units,19.5±13.4,16.5±22.6,49.5±18.0であった.正常気管支,気管支炎のMean+2SD=21をCut off値としそれ以上を陽性とすると,陽性率(%)はそれぞれ0%,44.4%,29.4%,100%であった.前癌病変と考えられている扁平上皮化生の約35%にテロメラーゼ活性の上昇が認められた.hTERT mRNAの発現はテロメラーゼ活性高値の例に認められている.
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