研究概要 |
【目的】蛍光気管支内視鏡にて診断したpreinvasive bronchial lesionsのテロメラーゼ活性を検討した. 【対象と方法】蛍光気管支内視鏡検査を施行した喀痰細胞診要精査および肺癌患者46症例よりの生検材料74病巣(正常気管支および気管支炎N=22,扁平上皮化生N=15,異型扁平上皮化生N=23,扁平上皮癌N=14)を対象とした.従来の白色光気管支鏡検査の後蛍光気管支内視鏡施行,生検を施行し病理組織学的に検討した.この際同一部位の生検を2度行い,液体窒素にて凍結し-80℃にて保存,組織学的診断の後テロメラーゼ活性をTRAP法にて測定した. 【結果】正常気管支および気管支炎,扁平上皮化生,異型扁平上皮化生,扁平上皮癌におけるテロメラーゼ活性値(平均値±SD)は,6.2±7.5,13.9±14.8,18.5±20.8,54.5±22.3 unitsであった.正常気管支および気管支炎の平均値+2SD=21をCut off値と設定すると,扁平上皮化生は15例中5例33%が,異型扁平上皮化生は23例中8例35%が,扁平上皮癌は14症例全例がCut off値以上の高値を呈した. 【結論】テロメラーゼ活性は,気管支扁平上皮癌の多段階発癌過程における組織学的変化に比例して増加する可能性が示唆された.
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