研究概要 |
我々はこれまでに,骨格筋を循環補助に用いるために必要な動物実験用埋め込み型骨格筋刺激装置の開発を継続して行ってきた。この骨格筋による循環補助の慢性実験に際しては,安定した心不全モデルの作成が不可欠である。そこで平成11年度,12年度の2年間では,これまでに達成されたバースト刺激,テレメトリー技術,心同期技術に加え,安定した心不全モデルを作成するためのRapid Pacing法,すなわち高頻度刺激を心筋に与え,心臓拍動を頻拍にすることで心不全モデルの作成を行った。平成13年度はバースト刺激,テレメトリー,心同期,Rapid Pacing機能を組み込んだMCMS-1112の電子回路を設計し,試作機を作成した。この試作機を用いて急性動物実験を行い,Pacingの基本動作の確認を行った。また,テレメトリーシステムの通信性能を評価し,必要な改良を加えた。さらに昨年度までに作成された慢性心不全モデルの詳細な解析を,分子生物学的手法も用いて行った。 1)昨年度までに開発を行ってきたMCMS-0102のRapid Pacing機能を組み込み,量産モデルMCMS-1112の電子回路を設計し,試作機を作成した。 2)テレメトリーの試験では外部からのプログラム変更が可能であることを確認した。 3)1)で作成した試作機を用いて急性動物実験を行い,バースト刺激とテレメトリーによるプログラム変更が可能であることを確認した。心同期回路に一部改良を加えて,心同期も可能であることを確認した。 4)慢性心不全モデルの解析では,実験犬の心筋に心筋繊維化をつかさどるとされるTGF-βの発現が認められ,生理学的指標との相関関係が示された。
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