研究概要 |
我々は平7年より科学研究費の補助を得てCardiomyoplasty用の埋め込み型骨格筋刺激装置の研究開発を開始し,平成10年度までにCardiomyoplastyに必要なバースト刺激,テレメトリー,心同期機能を有する刺激装置を開発した。 平成11年度からの本研究ではこれらの機能に加え,安定した心不全モデルを作成するためのRapid Pacing法,すなわち高頻度刺激を心筋に与え,心臓拍動を頻拍にすることで心不全モデルの作成が可能な埋め込み型骨格筋刺激装置を研究開発した。 毎分250回〜350回で心室刺激可能な骨格筋刺激装置を製作し,6週間のpreliminary studyの後,8頭のビーグル犬を用いて慢性埋め込み実験を行った。毎分256回,4週間のpacingの後,8頭のうち6頭に食欲低下,腹水といった心不全徴候が認められた。心拍出量は1.10±0.1から0.48±0.1L/minに有意に低下し,左房圧,右房圧も有意に上昇した。生化学的検査で血清レニン活性,アルドステロン,ノルエピネフリン,ANP, BNPは全て有意に上昇を認めた。 実験結果よりRapid pacingによる心不全モデルが作成されたことは明らかで,この装置の心不全モデル作成での有用性が示された。耐久性についても8台中6台が2ヶ月以上にわたって正常動作したことより問題ないと考えられた。 これらの結果よりMCMS-0102は商品化され,現在までに3つの研究施設で導入された。また,ハードウエアは全面的に公開されている。今後はMCMS-0102の技術を導入した骨格筋刺激装置MCMS-1112の開発を継続し、心不全モデルを作成した上でのCardiomyoplastyの心補助効果等について検討していきたいと考える。
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