気管支鏡は呼吸器疾患に対する診断・治療の上で最も基本的な手技の1つである。しかし、新生児・乳児に使用可能なチャンネル付き極細気管支鏡がなかったため、この分野の気管支鏡を用いた医療は立ち後れていた。そこで我々はオリンパス社と共同開発で試作モデルXPF27を作成し臨床応用を重ねてきた。今回の研究テーマは臨床データに基づいたXPF27の改良である。今回の研究期間中に、試作器を約150例の気管支鏡に実際使用する中で得られた問題点を我々が検討し、それをもとにオリンパスが次の改良機を開発する形で、XPF-28CA、XBF-XP30、XBF-XP30Y3等が生まれた。最終的に要求された性能は、(1)粘稠な分泌物の吸引が可能な内径の内蔵チャンネルを持つこと、(2)外径が3.0mm以下であること、すなわち、3.5mm気管チューブ挿管時にも使用可能であること、(3)新生児の上葉気管支などにも挿入可能な操作性を持つこと、であった。この3条件をクリアする形で生まれたオリンパスXp40は外径2.8mmで3.5mm気管チューブ挿管時にも使用可能である。内蔵チャンネルは内径1.2mmと、市販小児用気管支鏡3Cシリーズと同じチャンネル径を有するため3Cシリーズの鉗子やブラシなどがそのまま利用可能である。視野は3C30と同等ときわめて良好である。彎曲角度もup、downそれぞれ180°、130°である上に、先端部が他動的にも屈曲するため、従来挿入がやや困難であった右上葉気管支などにも容易に挿入可能である。Xp40の市販化により、この分野での気管支鏡の開発に一応の決着を見た。
|