研究概要 |
カルシュニューリン阻害剤による心筋アポトーシス抑制効果の検討 平成11年度の研究では過分極型心筋保護液での心筋保護効果は得られたが、TUNEL法による高齢心筋細胞アポトーシス発現率はアデノシン付加心筋保護液にても23±5%で、改善はみられたものの以前高値であったことより、アポトーシスを抑制するカルシュニューリン阻害剤の心筋保護効果を検討した。カルシュニューリン阻害剤(FK-506)前投与の心筋保護効果をまず成熟日本白兎によるランゲンドルフ心灌流モデルにて検討した。コントロールとして単純虚血(30分の全虚血)を用いた。FK-506前投与(1mg/kg iv)による心機能回復率(左室圧回復率)はコントロールに比し20±4%,と良好であった。またTUNEL陽性細胞出現率はコントロールに比べ45%減少しアポトーシス抑制効果が得られた。次に月齢36ヶ月以上の高齢兎(ヒト60才相当)を用い同様に心機能回復率を検討したところ、コントロールでは左室圧回復率60±5%と有意に低下したがFK-506前投与では17±3%と心機能回復率は有意に改善し、高齢心においてもアポ卜ーシスの関与が確認された。またTUNEL陽性細胞出現率はコントロール(32±7%)に対しFK-506投与にて有意に改善し、FK-506の心筋細胞アポトーシス抑制効果が示唆された。 以上の成果をふまえ、現在FK506前投与と脱分極型心筋保護液並びに過分極型心筋保護液の心筋保護相乗効果について検討中であり、予備研究においてTUNEL陽性細胞発現率の減少がみられた。
|