研究概要 |
ヒト肺癌細胞株におけるメタロ・プロテナーゼ阻害剤BPHAの抗浸潤・転移効果の研究 <新規経口MMP阻害薬BPHAのin vitroでの浸潤抑制効果> 塩野義製薬(株)にて創製された新規経口MMP阻害薬であるスルホニル化アミノ酸誘導体BPHA(N-biphenyl Sulfonylphenyalanine Hydroxiamic Acid)は,MMP-2及び9の活性を特異的に阻害し,マウスへの連日投与にり腫瘍増殖,血管新生及び肝転移を抑制することが分かっている(Cancer Research 59,1231-1235,1999). 我々は,in vitroでの浸潤抑制効果をマトリゲル及びBoyden chamberを用いたHaptoinvasion assayにて検討した.また,同時に遊走能についても検討した. BPHAは,in vitroで走化性に影響しないが,基底膜の浸潤を抑制することが示唆された.BPHAは,血管新生を抑制するだけでなく,腫瘍自体の基底膜の浸潤を抑制することが示された. <新規経口MMP阻害薬MMIのin vitroでの浸潤抑制効果> 新規経口MMP阻害薬であるMMI-166は,MMP-2及び9の活性を特異的に阻害し,in vivoで腫瘍増殖及び肝転移を抑制することがわかっている.我々は,in vitroでの浸潤抑制効果をマトリゲル及びBoyden chamberを用いたHaptoinvasion assayにて検討した. MMI-166は,in vitroで癌細胞の基底膜への浸潤を抑制することが示された. MMI-166のin vitroでの浸潤抑制能は、その細胞の発現するMMP-2,MMP-9の量とほぼ相関する傾向を認めた.MMI-166は,血管新生だけでなく,基底膜の浸潤を阻害することが示された. <新規MMP阻害剤MMI-166が、in vivoのモデルにおいてその阻害効果> MMI-166100mg,200mg,300mg/kg bodyをSCIDマウスに腫瘍を同所性移植直後より28日間投与したが、体重減少などの副作用は認めなかった。皮下移植モデルにおいて200mg/kg body MMI-166の投与量で腫瘍の縮小効果を認めた。肺癌リンパ行性転移モデルにおいては縦隔組織重量は非投与群0.12±0.014,投与群0.083±0.017で縦隔リンパ節転移抑制効果を認めた。
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