研究概要 |
重症筋無力症に対し胸腺摘出術が有効であるが、その理由は明らかでない。重症筋無力症はAchRに対する抗体の産生が原因であることが分かっており、自己免疫疾患である。自己免疫疾患の発症には、autoreactive T cellの存在が関与していると考えられ、本来autoreactive T cellは、T細胞の分化の段階でapoptosisにより除去されるべきである。T細胞のselectionにおいて、Bcl-2 family proteinは重要な働きを有していると考えられ、human thymocyteおよびヒトリンパ球におけるBcl-2 family proteinの発現につきフローサイトメトリーを用いて検討を行った。Bcl-2はCD4^+8^+(DP)thymocyteとCD19^+38^+ tonsillar lymphocyte(GC B cell)でdown-regulateされていた。またDP thymocyteのうちCD69^+ cellは、Bcl-2がup-regulateされていた。Bcl-xの発現は、SP thymocyteよりも、DPthymocyteの方が低く、またCD69^+ DP thymocyteはCD69^- DP thymocyteよりも低かった。Bimの発現はDP thymocyteでは低く、GC B cellでは高かった。BimとBaxはthymocyteにおいて,single positive(SP)thymocyteの方が、DPよりも高かった。末梢血リンパ球で、CD8SPにおけるBcl-xの発現は、CD4SPよりも10倍ほど高かった。Bak,Bimは末梢血リンパ球においては発現が低かった。これらの結果は、Bcl-2だけではなく、他のBcl-2 familyも、胸腺におけるT cell developmentやgerminal centerにおけるB cellのaffinity maturationに関与していることを示唆させる。
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