研究課題/領域番号 |
11671336
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
阿部 毅寿 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (20305717)
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研究分担者 |
上田 高士 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (80316067)
谷口 繁樹 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90183467)
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キーワード | 遺伝子導入 / gene gun / EB-Virus episomal Vector / plasmid / 糖尿病ラット / 心機能 |
研究概要 |
1.Gene Gunによる遺伝子導入:non-viralな遺伝子導入法として、Gene Gun法が様々な臓器や培養細胞に応用されているが、本法による心臓への応用は未だ報告されていない。そこでラットの心臓に対して本法によるin vivo遺伝子導入に関して検討した。Gene Gunはヘリウムガスを利用する圧力型(日本医科器械製、TF-1型)を用いた。9〜10週齢のwistar ratに対してGene Gunによる遺伝子導入を行った。また、他臓器への影響を検討するため、心臓以外に脳、肺、肝、腎、脾、腎でのLacZの存在をPCR法で検索した。その結果、最長6週間の発現を認めた。一方PCR法による検索で、他臓器に導入遺伝子は検出されなかった。以上よりGene Gun法による心臓へのin vivo遺伝子導入は、non viralであり手技も簡便で限局した領域に遺伝子導入するには他臓器への影響もなく有用な方法と考えられた。 2.II型糖尿病モデルラット心臓における力学的エネルギー学的検討:糖尿病患者における心機能の特徴として拡張機能障害が挙げられる。そこで自然発症II型糖尿病モデルであるOLETFラットより血液交叉潅流摘出心臓標本を作製し、その心機能を力学的エネルギー学的に検討し、収縮および拡張機能障害の有無を検討した。OLETFラットを生後25週間飼育後、8週間30%ショ糖水を飲水させ、その後30週間飼育した(0群)。対象群にLETOラットを用いた(L群)。各群で開胸時に血糖を測定後、血液交叉潅流摘出心臓標本を作製し、左室収縮期末圧容積関係(ESPVR)、一心拍当たりの心筋酸素消費量(VO2)-収縮期圧容積面積(PVA)関係とCaCl2負荷時の収縮性の酸素コストを求め比較した。0群ではL群と異なり、右心房(RA)pacing rate 300 beats/minではincomplete relaxationが多く、pacing rateを240beats/minに減少させる必要があった。このため、両群ともに240beats/minでRA pacingを行った。また中程度の左心室容積(mLVV)での左心室圧弛緩曲線から時定数(logisticτ)を求めた。さらに、実験終了後、各群の心筋myosin isozymeをポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離後、その比率を求めた。[結果]血糖は0群504±88、L群103±16mg/dlで、0群は有意に(p<0.01)高値を示した。ESPmLVV、EDPmLVV、PVAmLVV、VO2-PVA直線関係におけるslopeとinterceptおよび収縮性の酸素コストは両群間に有意差は無かった。しかし、logisticτは0群18.9±1.7、L群15.6±2.6msecであり0群で有意に(p<0.05)延長していた。心筋myosin isozymeは0群ではV3優位で、L群ではV1優位であった。[結語]II型糖尿病モデルラット心臓ではrapid pacingができず、また、左心室圧弛緩曲線での時定数の延長が見られ、拡張機能が低下していたが収縮機能には有意の変化は見られなかった。この一因として心筋myosin isozymeのシフトの関与が示唆された。
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