研究課題/領域番号 |
11671341
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
中村 治彦 東京医科大学, 医学部, 講師 (80183523)
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研究分担者 |
斎藤 誠 東京医科大学, 医学部, 講師 (30225734)
加藤 治文 東京医科大学, 医学部, 教授 (20074768)
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キーワード | 肺癌 / FISH / 染色体 / p53 / c-erbB2 |
研究概要 |
FISH法によりp53遺伝子、c-erbB2遺伝子、及び17番染色体セントロメアの各コピー数を肺癌細胞の間期核において計数することを本年度の目標とし、至適条件を検討した。蛍光色素を直接標識した座位特異的DNAプローブを用い、切除腫瘍から作製した捺印標本を検体として短時間のうちにシグナルを得る方法を確立できた。これは主としてスライドの洗浄法を工夫することにより短時間で特異的シグナルを得ることに成功したためである。現在までのところ、p53遺伝子については39例、c-erbB2遺伝子と17番染色体セントロメアについては各々50例の解析が終了した。p53遺伝子の欠失は17/39(43.6%)、c-erbB2の増幅17/50(34.0%)の症例で認められた。17番染色体が2コピー以外のコピー数、すなわち異数性を示す症例は24/50(48.0%)に認めた。これら各コピー数の異常と肺癌組織型、病期、リンパ節転移の有無などの因子の間には現在までのところ、特定の相関関係は認めていない。現在、予後との関係を検索中である。一方、本研究で着目しているchromosomal instability(CIN)については、17番染色体に関して12/50(24%)の症例において確認された。すなわち、CINが観察されるのは17番染色体の異数性を示す症例のうち、半数の症例にすぎない。さらに興味あることにCINとp53遺伝子の欠失は有意に相関していた(χ2-検定:p<0.01)。p53遺伝子はゲノムの安定性に関与していると考えられており、本遺伝子の機能異常がCINを惹起することを示す間接的な証拠を呈示できたと考えている。
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