| 研究概要 |
幼若イヌに成犬肺葉を同種同所移植し、移植肺の機能的変化を成犬の自家肺葉移植群と比較検討した。
【方法】体重15-20kgの雑種成犬の左下葉を摘出し、左肺を全摘した体重5-6kg雑種幼犬に同種同所移植し、免疫抑制剤(cyclosporine A,azathioprine,predonisolone)の経口投与を犠牲死させるまで継続した。対照として雑種成犬の左肺を全摘し、左下葉を同所性に自家移植した。左肺を全摘した術後胸部X線写真を適宜撮影し、8ないし12ヶ月目に犠牲死させる前に、肺動脈造影および片肺動脈閉塞試験をおこなって、肺動脈圧を測定し動脈血ガスを分析した。また犠牲死後に移植肺および右肺上葉を摘出し組織学的検索を行った。
【結果】幼若犬同種移植群の肺動脈閉塞前の閉塞前後15分の肺動脈圧は各々19±3、23±15mmHgであった。成犬肺葉自家移植群ではそれぞれ20±10,37±12mmHgであった。動脈血ガス分析:幼若犬同種移植群の閉塞前後30分のPaO2は各々404±164、358±205Torr PaCO2は各々25.8±4.3、45.5±2.5Torrであった。成犬自家肺葉移植群ではPaO2はそれぞれ447±48、474±61Torr、PaCO2はそれぞれ21.9±10.5、28±10.9Torrであった。組織学的所見:幼若犬同種移植群、成犬自家肺葉移植群ともに移植肺の肺胞の癒合・拡張が一部にみられたが、多くの肺胞構造はよく保たれていた。
【結論】成熟イヌー幼若イヌ同種肺葉移植における移植肺の術後長期の形態および機能は、成熟イヌ自家肺葉移植における移植肺と比べて差がないことが判った。
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