研究概要 |
目的:本研究では、CTL誘導効率を改善するために自己肺癌細胞に補助刺激分子であるCD80遺伝子を移入して発現させ、これを刺激に用いて腫瘍特異的CTLクローンを誘導する。 実験:当科で樹立した肺癌細胞培養株10例について検討を試みている。同症例の手術時採取したTIL,RLNL,PBLを固相化抗CD3抗体と低濃度IL-2で50-100倍に増やし、凍結保存した。10例の樹立株の内8例、CD80遺伝子の導入を行った。腫瘍細胞表面のCD80発現をFACSにて確認した。 次に、CTLの誘導を図る。TIL,RLNL,PBLを解凍し、培養に移してから、放射線照射した自己腫瘍で週1回、合計3回の刺激をリンパ球・腫瘍細胞比を10:1にして施行した。このCTL誘導を自己腫瘍及びCD80移入自己腫瘍について施行した。最終刺激から7日後に、CTL活性を4時間クロム遊離試験ないしはサイトカイン産生試験で測定した。 CD80を移入しない刺激細胞においては2例にのみCTL誘導が可能であった。一方、CD80移入細胞による刺激では、誘導を試みた8例中6例でCTL誘導が可能であった。すなわち、補助刺激分子移入による有効なCTL誘導の系が可能となった。 今後、得られたCTLについて限界希釈法にてCTLクローンを樹立し、抗原解析、TCR解析を行う予定である。
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