研究概要 |
現在までに約80例のグリオーマを収集することができ、こられについて、G1/S期細胞周期制御機構に関わる遺伝子であるRb,CDK4,CDKN2Aについて遺伝子解析を進めている。予想されたとおり、悪性度の高いglioblastoma(60-80%)およびanaplastic astrocytoma(20-40%)において高頻度にこれらの遺伝子に異常が検出されている。同時に、stretch PCRを用いたテロメレース活性の検出を試みているが、現在のところ、安定した結果が得られず、検体収集の方法、抽出方法などについて調整を行っている。 テロメレース酵素の発現については、当初使用した抗体においては適当な効果が見られず、RT-PCRなどの方法で検出をすべく検討を行っているところである。 これらと同時に、テロメレース活性と様々な遺伝子異常との関連を見るために、p53のSSCP解析や、染色体1p、19q、10q、22qなどにおけるloss of heterozygosity(LOH)解析などを行っているところである.このような遺伝子異常によって腫瘍に対して様々な遺伝子タイピングが可能になると考えられ、テロメレース発現状況との関連を探っている。その延長として行なった、髄膜腫に対する遺伝子解析の結果、染色体22qのLOHが、NF2遺伝子産物であるmerlinの発現状況に完全に一致し、髄膜腫の遺伝子タイピングの一つのマーカーとなることを発見し、これを報告することができた。
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