研究概要 |
1.神経膠腫では悪性度が高くなるにつれて新生血管も増加する.従って腫瘍血管の増生を抑制できれば腫瘍の増殖も抑えられると考えられる.本研究ではvascular endothelial growth factor(VEGF)及びVEGF-Receptorの局在とVEGF-antisense oligomerによる腫瘍増殖抑制効果を検討する. 2.平成11年度は正常剖検脳と神経膠腫50例(WHOのgrade II 13例,grade III 15例,grade IV 22例)を対象とし,VEGFとそのreceptorであるFlt-1,Flk-1の発現と分布を検討した.正常脳ではVEGFの発現を認めなかった.腫瘍細胞のVEGFの発現は,悪性度の高いほど高かった(Grade IV>III>II).Flt-1,Flk-1の発現はともに悪性度の高いほど強い傾向にあった.Flt-1は腫瘍細胞,血管内皮細胞に,Flk-1は血管内皮細胞と血管周皮細胞に強く認められた.免疫電顕やWestern blottingでも本所見が裏付けられた. 3.平成12年度はin situ hybridizationによるVEGF発現の追試を行う.また培養細胞を使用してVEGFのantisense oligomerを導入してその抗腫瘍効果を検討する.
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