研究課題/領域番号 |
11671364
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
岩間 亨 岐阜大学, 医学部・附属病院, 講師 (20303498)
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研究分担者 |
篠田 淳 岐阜大学, 医学部, 助教授 (50273131)
野田 伸司 岐阜大学, 医学部・附属病院, 助手 (70303500)
坂井 昇 岐阜大学, 医学部, 教授 (10021487)
郭 泰彦 岐阜大学, 医学部・附属病院, 講師 (90242718)
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キーワード | Bcl-2 family / セラミド / アポトーシス / グリオーマ / 抗癌剤 / カスパーゼ / p53 / 活性酸素 |
研究概要 |
抗癌剤であるetoposide(VP-16)及び外因性のC2-,C6-ceramideによるC6ラットグリオーマ細胞のアポトーシス誘導過程においてBax/Bcl-2比の上昇が重要なfactorであるという前年度までの結果を受けて、今年度はbax、bcl-2、bcl-xL cDNAをそれぞれ過剰発現した細胞を樹立し、Bcl-2ファミリーとスフィンゴミエリナーゼ・セラミド系との相互関係を詳細に検討した。ラットC6及びヒトU87-MGグリオーマ細胞にbax、bcl-2、bcl-xL cDNAをstableあるいはtrausientに過剰発現させ、VP-16、cisplatin(CDDP)、TNF-α刺激によるセラミドを介するアポトーシスにおけるセラミド産生とカスパーゼ活性化の変化を解析したところ、bax過剰発現細胞ではstable、transientの発現型に関わらず、セラミド産生はコントロール細胞とほぼ同等であった。しかし、チトクロームcの逸脱及びカスパーゼ9、3活性化は増強され、アポトーシスが亢進した。一方、bcl-2あるいはbcl-xLの過剰発現細胞ではチトクロームcの逸脱及びカスパーゼ9、3の活性化だけでなく、その上流でスフィンゴミエリナーゼの活性化抑制によるセラミド産生も抑制することでアポトーシス細胞が減少した。更にセラミド産生抑制にはコントロール細胞の約10倍以上のBcl-2の発現が必要であった。従ってグリオーマ細胞のセラミドを介するアポトーシスにおいて、bcl-2、bcl-xLの過剰発現はその発現量に応じてアポトーシスの進行に阻害作用を示し、セラミド産生の抑制によりアポトーシスが抑制する一方、baxの過剰発現はセラミド産生には影響を与えずアポトーシスを亢進させる可能性が示唆された。また我々はグリオーマ細胞の抗癌剤によるアポトーシス誘導におけるセラミド産生機構の解明についても検討した結果、VP-16によるDNA損傷→p53蓄積→活性酸素(ROS)の産生→中性スフィンゴミエリナーゼ活性化→セラミド産生というカスケードが存在することが判明した。このことからVP-16によるヒトグリオーマ細胞のアポトーシス誘導におけるp53依存的なROS産生に基ずく、セラミド産生の制御因子としての位置付けを示すことが可能となり、抗癌剤によるアポトーシス誘導過程でのセラミド産生機構の解明にも繋がった。
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