研究課題/領域番号 |
11671378
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
星田 徹 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (60157005)
|
研究分担者 |
知禿 史郎 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (50316064)
平林 秀裕 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20218811)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
キーワード | 等価電流双極子 / 双極子追跡法 / 難治てんかん / 側頭葉てんかん / てんかん手術 / 頭蓋内電極記録 / てんかん原性焦点 / 棘波 |
研究概要 |
《目的》「脳の時代」といわれる21世紀を迎えて、脳に直接的な侵襲を加えることなく脳の神経生理学的検索を行うことは大変重要かつ希求される分野である。我々が目指している難治てんかんの診断と治療の確立は、大脳の高次機能を神経生理学的に検討する上で非常に有用な手段となる。脳の電気活動を如何に侵襲性なく、捉えるかが最大の課題である。脳内の突発的異常電気活動を非侵襲的に評価する方法として、頭皮脳波を用いて分析する双極子追跡法(DT法)がある。DT法を用いた脳内電源推定の有用性と精度についての検討が必要であり、本研究ではDT法にて棘波を分析し、てんかん焦点同定に有用であるかを検討した。 《方法》難治てんかん患者の発作症状確認のために施行した頭皮脳波ビデオモニタリングから自動的にあらゆる棘波を選定し、DT法を用いて等価電流双極子(ECD)を推定した。患者の実形状頭部3層モデル(頭皮、頭蓋骨、脳)で、導電率を1:1/80:1に設定し、より正確に焦点を評価した。そして、(1)器質性病変とてんかん焦点との関係、(2)側頭葉てんかん(TLE)で、ECDの位置とてんかん焦点、およびてんかん焦点領域との関係、の3点について検討した。 《結果》(1)5例の器質性病変。病巣周囲20mmまでにECDが集中する割合は、5mm毎に10%を越え、20mm以内に70〜90%が集中した。(2)15例のTLE。てんかん焦点の中心部とECDの中心部との差は8〜18mm、平均14mmであった。ECDがてんかん焦点領域に集中する割合は、片側型TLEは76%で、両側型や中間型TLEの36%や52%に比較して有意に集中していた(p=0.007)。 《結論》ECDが器質性病変周囲20mm以内に70%以上集中すれば病変切除のみでよい。片側型TLEでは、ECDが病変側側頭葉に集中し、てんかん焦点との差は平均14mmであり、側頭葉切除術の範囲内であった。 以上より、DT法を用いることにより非侵襲的に、てんかん焦点同定が可能となることを示した。
|