"虚血性神経半影(Penumbra)のモデル化とその応用"を目的として、in vivo Ishemic Penumbraの応用、つまり脳保護剤・組織環境の変化(温度・PH・preconditioning)の影響を検討した。今回は、ラットに低圧性低血圧法を用いたin vivo penumbraモデルの有用性を確認するために、神経毒3-Nitropropionic acid(3-NPA)を用いてchemical preconditioningを発現させ、preconditioningのpenumbraに対する影響を検討した。その結果、chemical preconditioningにより虚血負荷時に神経細胞の電気的活動が静止してから脱分極が生じるまでの時間(penumbra zone)は延長されることがわかった。しかし、この耐性誘導はシナプス伝達が傷害される段階(脳波の平坦化)と静止膜電位の保持が傷害される(脱分極が生じる)段階でのCBFおよびHbSO2には直接影響せず、脳酸素代謝率の低下によるものと考えられた。本モデルではin vivoにおいてpenumbraの状態をとらえることが可能であり、今後penumbraの病態解明を行う上で有用なモデルになりうると考えられた。
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