研究課題/領域番号 |
11671382
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 倫保 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (80196873)
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研究分担者 |
澤井 高志 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00125577)
小川 彰 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10204067)
久保 慶高 岩手医科大学, 医学部, 助手 (00316366)
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キーワード | 神経外傷 / トロンビン / 炎症性細胞 / サイトカイン / ケモカイン / 接着分子 / アポトーシス |
研究概要 |
脳挫傷に代表される脳実質損傷に対しては、未だ病態をふまえた有効な治療法は開発されていない。トロンビンは、組織修復に関わる反面、中枢神経系においては様々な組織損傷作用を有する。本研究では、損傷脳においてトロンビンが関与する「炎症」の病態の解明と新しい治療を目的に、トロンビンが損傷脳での1.炎症性細胞の遊走、集簇にどのような影響を与えるのか、2.接着分子E-selectin、Intercellular adhesion molecule-1(ICAM-1)の発現にどのように関与するのかを、トロンビン剤または抗トロンビン剤をラット脳損傷モデルに投与し、組織学的に検討した。 結果1,抗トロンビン剤であるアルガトロバンをラット損傷脳に局所投与して、炎症性細胞の集簇、反応性アストロサイトの増殖を組織学的に検討した。抗トロンビン剤は損傷脳において、細胞変性の引き金となる多核白血球と単球系貪食細胞の集簇や、瘢痕形成を誘導するvimentin陽性アストロサイトの影響を抑制する一方、neuroprotectiveな要素を含むglial fibrially acidic protein陽性アストロサイトには影響を与えなかった。トロンビンが炎症や過度の瘢痕化を惹起し、二次的な脳損傷を引き起こすことが解明され、さらに抗トロンビン剤がこれらの作用を抑制することにより、神経再生においてよりよい環境を作り出す可能性が示唆された。 結果2,トロンビンをラット損傷脳に局所投与して、E-selectin、ICAM-1の発現と多核白血球の集簇を組織学的に検討した。トロンビンは脳損傷部位近傍の血管において、損傷から48時間以内にE-selectin、ICAM-1の発現を誘導し、多核白血球の集簇に深く関与している可能性が示唆された。
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