研究概要 |
1.ラット静脈圧亢進モデルの作成 静脈圧亢進(VH)群を頚部動静脈瘻に頚静脈結紮を加えて作成した。コントロール群として結紮(L)群とsham群を作成した。ラットは動静脈瘻作成術後すみやかに麻酔から覚醒し、神経学的に異常は見られなかった。頚静脈結紮後は顔面の腫脹が生じた。 2.脳静脈圧測定 術後4-12週後の上矢状静脈洞内圧(SSSP,平均±標準偏差)は、VH群(n=7)で15.5±3.9mmHg、L群(n=4)で4.8±2.2,sham群(n=4)で3.7±3.5であった。統計学的処理は行っていないが、SSSPはVH群のみで上昇している傾向であり予定どおり脳静脈圧亢進モデルは作成された。 3.^<14>C-iodoamphetamineによるindicator fractionation法を用いた脳血流量の測定。 測定は皮質、caudoputamen、小脳、脳幹、その他の部位に分けて行った。測定直前の生理学的パラメーターは、平均動脈圧、pCO2ともに各群に大きな差はなかった。局所脳血流量は各群とも左右差はなく、大脳皮質を例にとると、sham群(n=4)、L群(n=4)、VH群(n=3)でそれぞれ71±10ml/min/脳100g、100±29、120±9であり、他の部位でもこの順に高くなる傾向が見られた。静脈圧亢進による脳血液量(cerebral blood volume)の増加が真の脳血流量算出を妨げている可能性があり、今後は脳血液量増加による因子を除去して脳血流量を算出する方法の確立、及び他の方法(水素クリアランス法など)を用いて検討する予定である。
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