研究概要 |
重症脳障害患者に対する低体温療法中の頭蓋内圧は体温低下伴い低下し,脳灌流圧も上昇が認められた。酸素代謝では改善傾向がみられた。髄液では,頭蓋内圧亢進にともないアシドーシスの進行が認められ,乳酸・ピルビン酸の測定では各パラメータとの関連は明かではなく脳虚血・低酸素等の状態以降に上昇が見られた。頚静脈血液温での34度未満,34.1-37度、37度以上の3群間では酸塩基平衡では有意差は見られなかった。酸塩基平衡は受傷後経過時間と関連し受傷24時間以内で有意にHCO3-の低下が認められたが,損傷の種類ではPCO2の上昇によるアシドーシスの進行が著明であった。酸素代謝では34度未満の群で低下が認められ,受傷24時間以内でPO2/SO2の低下が見られた。損傷の種類ではびまん性損傷でSjO2の低下がみられた。乳酸・ピルビン酸は34度未満で有意に低下し,受傷後早期に高値を示し時間経過に伴って低下傾向を示したが,損傷の種類による違いは認められなかった。さらに加えて,興奮性アミノ酸等の測定により,より詳細な脳障害部位と周辺の生化学的変化,脳アシドーシスと脳虚血の関連を評価するために,細胞外液での微小透析法を用いたカテーテルの開発を行い,使用に関し杏林大学倫理委員会に提出した。
|