研究概要 |
頭蓋内での脳微小透析法につき杏林大学医学部倫理委委員会より承認されたが,臨床症例が数例しか集まらず研究の進行が遅れている.このため,脳血管障害による重症脳障害,とくに脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血時に使用される血管内治療法による基礎実験を行った.目的はこの血管内治療、特にコイル塞栓術が必ずしも確実な破裂動脈瘤の再発防止になっていないため、実験的に本法のより確実な再発防止効果を得る方法を究明することにある。方法は、16匹の成豚の外頚・上咽頭動脈分岐部で全身麻酔下に動脈瘤を作成し,常温下にてGDCコイルを用いて塞栓術を行い,22動脈瘤に対しては創傷治癒因子であるFXIIIを投与、3週間後に摘出し血管内皮の状態を走査顕微鏡にて評価し、FXIIIを使用しないコントロール群と比較し検討した。その結果、FXIII投与群では繊維芽細胞の増殖と血管内皮の進展を著明に認めた。 この実験から、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血による重症脳障害患者に対しては血管内治療法としてFXIIIの併用がより安全で確実な効果が得られると考えられる.
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