研究課題/領域番号 |
11671389
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
宮嶋 雅一 順天堂大学, 医学部, 講師 (60200177)
|
研究分担者 |
佐藤 潔 順天堂大学, 医学部, 教授 (10112707)
菱井 誠人 順天堂大学, 医学部, 講師 (40189783)
新井 一 順天堂大学, 医学部, 助教授 (70167229)
|
キーワード | 先天性水頭症ラットHTX / cDNAアレイ / RT-PCR / voltage-gated sodium channel aquaporin4 / 免疫組織染色 |
研究概要 |
先天性水頭症ラットHTXと対照となるWiasterラットの胎仔脳との間に、cDNAアレイにより差次的発現を認めた各遺伝子をRT-PCR法にて検討した。しかし残念ながら、今回使用したcDNAアレイの約1200種類の遺伝子の中には、先天性水頭症ラットHTXの原因遺伝子と考えられる遺伝子は存在しなかった。今年度より当施設にGene Chipの装置が導入された。この装置を用いて更に多くの種類の遺伝子解析を開始している。 cDNAアレイにより差次的発現を認めた遺伝子の中で、脳の水分電解質の移動と維持に関係のあるとされるvoltage-gated sodium channelおよびaquaporin 4に着目し、RT-PCR法にてそれらの遺伝子の発現を検討した。両遺伝子共に胎生18日から生後4週齢までの各週齢において、正常脳と比較して、水頭症の大脳皮質に有意にそれらの発現が増加していた。更に、aqaporin 4に対する特異抗体を用いて免疫組織染色を施行した。正常脳に比較して、水頭症の上衣細胞の細胞膜と血管周囲のアストロサイトの突起に強い染色を認めた。この事より、先天性水頭症ラットHTXの脳では、脳室からの髄液の吸収経路(上衣細胞-アストロサイト-毛細血管:alternative pathway)の発達が推定された。 ヒトの停止性水頭症でも髄液吸収のalternative pathwayが発達し、頭蓋内圧がコントロールされていると考えられており、alternative pathwayの発達を人為的に促す事ができれば、水頭症の新しい治療法の糸口を見つける事ができると思われる。
|