研究概要 |
本年度は三次元脳血流量表示への処理方法の確立を目的とし、ヘリカルスキャンと多層性の2D-XeCTから得られる多断面再構成画像(MPR)の作成を行い、画像作成時間や両方式での発生ノイズについて比較検討した。ヘリカルスキャンにより得られた脳血流画像のノイズは大きく、原因はXeガス吸入前後でのスキャン軌道の不一致と判明した。MPRに関してはスキャン時間と三次元表示に必要なスライス数との関係から、従来のCT装置や画像処理能力では三次元脳血流表示は困難であった。しかし、現在使用している東芝Xvigorではスライス幅の設定やスキャン時間の大幅な短縮により三次元画像処理が可能となった。 乳幼児や頭蓋骨早期癒合症6例及びインフオムド・コンセントが得られた正常4例での2D-XeCT法による局所脳循環動態の定量測定、acetazolamide負荷後における血管予備能や臨床神経学的所見の検索の他、患児の発達指数(DQまたはIQ)を測定した。頭蓋形成術を施行した6例の術前局所脳血流量の平均は前頭葉44.7±6ml/100g/min、側頭葉49±7ml/100g/min、後頭葉45.7±8ml/100g/min、全脳46±7ml/100g/min、基底核70.3±11ml/100g/min、深部白質31.3±5ml/100g/minであり、acetazolamide負荷後の血管予備能は全領域で低下していた。術後脳血流量は前頭葉で有意(P<0.05)な増加を認め、acetazolamide負荷後の血流増加率は後頭葉,全脳,基底核,深部白質で有意な増加を示していた。血管予備能と患児の発達指数との相関は得られていないが、経時的変化に注目し今後も検索する予定である。来年度は、多断面再構成画像(MPR)による三次元脳血流量画像を実際の症例で作成し検討する予定である。
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