研究課題/領域番号 |
11671390
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
中西 肇 順天堂大学, 医学部, 講師 (90227843)
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研究分担者 |
新井 一 順天堂大学, 医学部, 助教授 (70167229)
佐藤 潔 順天堂大学, 医学部, 教授 (10112707)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 頭蓋骨早期癒合症 / 脳血流量 / 三次元表示 / 全頭蓋形成術 / 血管予備能 |
研究概要 |
頭蓋骨早期癒合症7例に全頭蓋形成術を施行し、術前後で二次元表示Xe-CTによる局所脳循環動態の定量測定、acetazolamide負荷後における血管予備能や臨床神経学的所見の検索の他、患児の発達指数(DQまたはIQ)を測定し検討した。 1.術前後の測定において前頭葉、前頭葉白質、並びに全脳で統計学的に有意な血流増加を認めた。acetazolamide負荷後の血流増加率は、全脳、後頭葉、基底核、深部白質で有意な増加を示し、頭蓋内圧亢進による血管予備能の低下が改善されていた。 2.1年後に再測定を施行した5例では視床部に有意な増加を確認し、そのうち4例は2年後の血流量が維持されていた。 3.手術時期による相違を検討した結果、1歳以下で頭蓋形成術を受けた5例に前頭葉を中心とした有意な血流量改善を認め、その後も改善傾向が確認された。血行動態の変化と精神運動発達指数の関連は、単一縫合早期癒合症で改善度は良好であり、前頭葉を中心とした血流量の改善に伴い、言語発達や社会性の改善を認めている。この結果、1歳以下の早期手術が有効であることが示唆された。 4.ヘリカルCTを用いた三次元血流量画像の構成が可能となり、頭蓋骨早期癒合症1例、くも膜嚢腫2例、Sturge-Weber syndrome 3例で測定した。脳血流分布や形態的左右差が存在するSturge-Weber syndromeやくも膜嚢腫での三次元脳血流量画像を作成し、コントラストやスライス厚による再構成画像の解像度を調整した。三次元画像の定量性は二次元画像と同等であることを確認しているが、任意の冠状及び矢状断面の再構成画像からの血流量測定は現在のプログラムでは不可能なため改良が必要と判断された。頭蓋骨早期癒合症例は術前例1例で、正常対象例はインフォームド・コンセントが選られないため未施行である。今後は、頭蓋骨早期癒合症を含めた様々な小児脳疾患例で三次元画像を作成し、術前後の血行動態の変化を観察する予定である。
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