研究課題/領域番号 |
11671396
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
川俣 貴一 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90204768)
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研究分担者 |
中村 聡 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20266779)
光山 哲滝 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (80318104)
山口 知子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (90075276)
堀 智勝 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60010443)
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キーワード | basic FGF / neurotrophic factor / MAP kinase / Ras / PI3-kinase / apoptosis |
研究概要 |
我々は実験的脳虚血において、basic fibroblast growth factor(bFGF)が病巣縮小および神経機能障害回復促進効果を認めることを報告してきた。しかし、その詳細なmolecular mechanismは未だ明らかではない。PC12細胞を用いた培養系で、in vivoにて細胞内情報伝達経路との関連からNGFおよびEGFと対比し、bFGFの作用機構を検討した。まず、bFGFは、serum free、A23187(カルシウムイオノフォア)、KCI(脱分極)による細胞死を抑制することを確認した。cell survivalの評価には、細胞内脱水素酵素によって還元されて生成される水溶性フォルマザンを定量するWST-8 assayを用いた。情報伝達経路に関与する因子として、Ras、PI 3-kinase、Bcl-2、Rap1などの動態をwestem blotにより検討したところ、RasがbFGF投与24時間後に著明にupregulateされており、48時間後にはほぼ終息していた。一方、PI3-Kinaseも明らかに活性化されていたが、time courseはRasとは明らかに異なり、24時間よりもむしろ48時間で著明であった。一般的にアポートシス抑制に強く関与しているとされているBcl-2は今回の実験ではわずかに増加しているにすぎなかった。さらに各情報伝達経路の抑制剤を用いて実験を行った。すなわち、MAP kinase系のinhibitor(MEK inhibitor)であるU0126とPD98059、あるいはPI3-Kinase系のinhibitor(p70のinhibitor)であるRapamycinなどを用いてcell survivalへの影響を調べた。非常にpotentなinhibitorであるU0126によりbFGFの効果は著明に抑制された。他のtrophic factorと比較すると、bFGF、NGF、EGFの順に強い抑制を受けた。PD98059でもU0126ほど明らかではないが、ほぼ同様の結果が得られた。3者ではMAP kinase系のMEKを介する経路の関与度が明らかに異なることが判明した。また、RapamycinによりbFGFのneuroprotective effectが強く阻害された。こちらに関しては、NGFおよびEFGとは明らかな差を認めなかった。以上の結果をふまえ、今後は、in vivoでの実験も進める予定である。
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