研究概要 |
in vitroでの実験を中心とし、ヒト培養悪性グリオーマ細胞(U87MG,U373MG,U128MG)とヒト正常アストロサイト(cryoNHA)を用いた。Estramustine溶液0,0.5,1.0,10μM を、それぞれ30分から24時間投与後にsampleとして使用した。 (1)透過電顕でEM10μM,24時間後までの核の形態変化をコントロール(EM 0μM)と比較検討したが、悪性グリオーマ細胞では核の濃縮とdegradation,及びapoptosis小体の出現やmitochondoriaの空胞化が時間をおって出現していたが、ヒト正常アストロサイトではそのようなapoptosisの変化は見られなかった。 (2)cellular DNA fragmentation ELISAによるfragmented DNAを吸光光度計をもちいて定量的に解析し、ヒト培養悪性グリオーマ細胞ではDNAのfragmentationが、濃度および時間依存性に増加していた。 (3)同時にin situ end labelling法によりDNAのfragmentationを起こした細胞のindexはヒト培養悪性グリオーマ細胞においては濃度および時間依存性に増加していた。 (4)細胞より取り出したDNA sampleを、Agalose gelでelectrophoresisしたが、EMを投与したヒト培養悪性グリオーマ細胞ではladder formationが観察された。 (5)このapoptosisを起こす機序として、apotosis制御蛋白であるBcl-2は薬剤投与後、mRNAレベルでの発現はRT-PCR上変化がみられなかったが、Western blottingとimmunoprecipitation法で確かめたところ、Bcl-2蛋白にphosphorylationをおこしていた。すなわちapoptosis抑制作用を有すBcl-2蛋白の機能を薬剤投与により阻害されていることが、明かとなった。
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