本薬剤は高濃度なcytotoxic levelでは腫瘍細胞にBcl-2蛋白のりん酸化によってapoptosisを誘導するが、低濃度ではmicrotubuleをdepolymerizeするのみである。 その低濃度レベルのcytostatice effectといった点を中心に研究をすすめてきた。当初glioma細胞に対する増殖抑制効果を研究していたが、正常astrcyteには作用せずにglioma細胞のみに作用していた。これはmicrotubule-associatedprotein(MAP)-2を介してEstramustineに特異的に結合するEstramustine-binding-proteinがglioma細胞のみに特異的に発現し、正常astrocyteには発現してないという機序に由来していた。同時にこの薬剤は血液脳関門を通過することが明かになった。またmicrotubuleは紡錘糸を形成し、機能を阻害することで細胞周期はG2/M期に集積するために放射線感受性増強作用をもたらすことを報告した。細胞浸潤といった点ではin vitroでのglioma細胞の遊走能を抑制した。この機序はまず細胞表面のpseudopodiaに存在するmicrotubuleのdepolymerizationがきっかけとなって細胞内へ波及した後でおこることをvariable pressureやS.E.M抗microtubule抗体を用いた免疫電顕での超微細構造の観察から明らかにした。
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