研究概要 |
平成11年後は脊髄後索電気刺激療法を12例、正中神経電気刺激を2例に行った。迷走神経電気刺激療法を行った症例はなかった。対象例には全例、植物症(Persistent vegetative state,PVS)であった。これらの臨床経験より得られた結果は以下の如くであった。 1)年令の因子は極めて大切で、その有効率の変化は35才を境にして二分される。35才以下ではOver allの有効率は58%であった(total N:131)。一方35才以上では23%であった。 2)疾患別ではやはり外傷起因のPVSでその有効率は最も高く、しかもそれが35才以下の場合は69%の有効率であった。(35歳以下では21%)。一方、脳卒中由来のPVSでは、年齢別にする有効率には大差ない。Anoxic accidentの由来のPVSでは年令の因子は極めて大切で35歳以上の症例の中で有効例は一例も認められなかった。 3)γ-CBFの測定は極めて重要であった。γ-CBF(特に前頭葉、視床、一側半球)が20ml/min./100gm以上である症例では64%に症状の改善がみられる。特に若年者の場合で、顕著であった。一方、20ml/min./100gm以下では症状の改善と来す率は6%であった。 以上より、脊髄後索電気刺激の適応は少なくとも40才未満で、起因疾患が頭部外傷であり、画像所見上、脳萎縮が軽度であり、γ-CBFが20ml/min./100gm以上である事を確認した。正中神経刺激は12例に於て行われたがその臨床的有動性は未だ確かではなかった。
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