平成12年度は長期血液透析患者の脊椎病変の病理学的検討、長期経過観察症例の臨床追跡、国内ジャーナルや国際ジャーナルへの投稿、各学会への報告を行った。日本整形外科学会、日本脊椎外科学会での講演、透析学会での講演等、各地方会での教育啓蒙を行った。 手術後長期を経過した症例での固定隣接椎間の破壊性病変の進展が新たに確認され、その病態の解明と最適手術治療の開発に力を注いだ。頚椎における多椎間固定の場合、その上の椎間に破壊性病変が進展する可能性が高く、それは初期固定アライメントともあまり因果関係がないことが判明した。また、多数回手術になるほど術後の合併症のリスクが高くなることも明らかとなった。特に術後の肺塞栓やイレウスが大きな問題であり、抜管できない場合の管理は極めて難しい。このような場合の麻酔科、ICUでの適切な処置についても明らかにすることができた。 現在、免疫組織学的手法を用いて、破壊性病変進展に及ぼす免疫反応の関与につき研究を進展させている。現在、国際ジャーナルへの投稿を2編用意している。腰椎の部位別罹患状況の詳細と、頚椎・腰椎病変の罹患と治療体系のレビューを投稿する予定である。また、近年糖尿病性腎症による慢性不全患者の破壊性病変も散見されるようになった。この場合、他の腎不全患者の破壊性病変とことなる点も多く、さまざまな鑑別をようする。この点についても、国内誌への投稿を終え、発刊を待っている。
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