機能的電気刺激(FES)による起立・歩行動作再建にあたって大腿四頭筋の強化が必要となるため、当科ではあらかじめ治療的電気刺激(TES)で筋力増強を図っているが、これまでにTESの最適条件は明確にされていない。今回は筋線維の組成がヒトの大腿四頭筋と似ているラットの前脛骨筋、長趾伸筋を用いて周波数の異なる電気刺激を行い、より大きな筋力増強を得るTESの刺激条件を検討した。【方法】対象は410〜510gのウィスター系ラット(雄)16匹で、尾部懸垂を行い萎縮筋を作製し、1週間後、総腓骨神経に電極を巻き付け皮下に埋め込み刺激を開始した。刺激は周波数20、75、100Hzの条件で、それ以外は同じ条件で1日30分、3週間行った。その後、前脛骨筋と長趾伸筋の筋湿重量を測定し、非刺激側を対照とした。【結果】刺激側と非刺激側の比較では、20Hz群は刺激側の筋湿重量は有意差を持って減少した。75、100Hz群では前脛骨筋、長趾伸筋ともに筋湿重量の増減に関して明らかな有意な差はみられなかった。【結論】萎縮筋への高周波数電気刺激は筋湿重量の増加、筋力増強を得られる有用な方法と考えられる。
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