研究概要 |
脳脊髄傷害などの上位運動ニューロン傷害に対する機能的電気刺激では,障害された筋萎縮をいかに防いで,筋力を増強するかが重要となる.しかし,至適刺激条件については,いまだ不明である.そこで,ラットの前脛骨筋(TA),長趾伸筋(ED)を用いて周波数の異なる電気刺激を行い,急性期筋萎縮に対する至適周波数を検討した.対象は,400-460gのウィスター系ラットで,バルビタールナトリウムを腹腔内投与し,全身麻酔下に総腓骨神経を露出し,電極を巻き付けた.その後,下位胸髄で椎弓切除し,尖刃で脊髄を横断し,脊髄の再生を予防するため,横断部に切除椎弓を移植した.刺激は,周波数20,50,100z,刺激時間は1日60分,1週間とした.刺激終了後,左右の前脛骨筋を一塊として採取し,最大径のところを厚さ約10mmの切片を得た.これを凍結させ,クリオスタットにより厚さ10μmの凍結切片を作製し,ph4.2のmyosin ATPase染色を行った.その結果,100Hzにおける非刺激側では刺激側に比べて筋線維の縮小化,Type Iの増加が認められた。100Hzで刺激した筋は,50,20Hzで刺激した筋に比べType II線維が膨化しており,Type I線維が減少していた.このことより,対麻痺による急性期筋萎縮において組織学的・組織化学的検索の結果,Type II線維の維持には高頻度刺激が有用と思われた.
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