1、骨シアロプロテイン(BSP)-トロンボスポンディン分子間相互作用の発見 BSPと生体の他の蛋白質との相互作用を解析しBSPの機能の解明を試みた。BSPは骨のみならず血清にも存在することから、他の血清蛋白と相互作用して機能することも考えられ、BSPと親和性を有する血清中の物質をBSP固定化アガロースゲルカラムを用いて検索した。実験においては血清フィブロネクチンはBSPと他の物質の相互作用を修飾する可能性があるので、ゼラチン固定化ゲルカラムであらかじめ血清フィブロネクチンを除去したウシ胎児血清を用いた。その結果、BSPに結合する主要な血清蛋白は170kDaの蛋白であった。非還元条件でこの蛋白は540kDaで、3量体オリゴマーであり、さらに抗ウシ-トロンボスポンディン抗体陽性で、トロンボスポンディンと同定された。トロンボスポンディンは血小板-血液凝固系に関連する蛋白であり、BSP-トロンボスポンディン分子間相互作用の存在は、BSPが血小板-血液凝固系に関連している可能性を示唆した。 2、BSPとフィブロネクチンを固定化したプラスチック表面への骨芽細胞様細胞株の接着現象に関する知見 プラスチックプレートを用いた骨芽細胞様細胞株の細胞接着能解析実験で、あらかじめBSPでcoatしたプラスチックの表面をさらにフィブロネクチンでcoatした場合、フィブロネクチンのみでcoatした場合あるいはBSPのみでcoatした場合と比較すると、細胞の接着率が有意に高い値を示した。このことはプラスチック表面上に存在していたBSP分子にフィブロネクチン分子が結合したことで、BSP単独あるいはフィブロネクチン単独でcoatした局面より、骨芽細胞が接着しやすい局面が形成されたことを示した。この結果は骨芽細胞の細胞接着にBSPとフィブロネクチンの分子間相互作用が関連する可能性を示唆した。
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