研究概要 |
本年度の研究で我々は、ヒト脊柱靱帯骨化の発生進展におけるNpps(Nucleotide pyrophosphatase)およびレプチン・レプチン受容体の関与を、生化学的、分子生物学的および分子遺伝学的な手法を用いて解析した。 OPLL患者165例を2群に分け、頚椎のみにOPLLを認める94例(男68例女26例)をC群、胸椎または腰椎にOPLLが及ぶ71例(男28例女43例)をTL群とした。BMIは女性においてTL群がC群より有意に高値を示した。糖尿病合併は男においてC群の23%、TL群の58%、女でC群の19%、TL群の28%に認め、TL群で合併率がより高かった。血清インスリン値は2群間に有意差を認めず、血清レプチン値は女性においてTL群がC群より有意に高値であった。以上より、胸腰椎におよぶOPLLは頚椎に限局するOPLLに比べて女性に多く、男では耐糖能異常、女では肥満、高レプチン血症との関連性が強いことが明らかとなった。 対象のgenomic DNAを用いて、exon4,6,9,14,20とintron16,19のレプチン受容体遺伝子多型解析を行った。その結果、レプチン受容体遺伝子多型のアレル頻度はC,TL群間に有意差を認めなかった。 Npps遺伝子異常により脊柱靱帯骨化を発生するtwyマウスを解析した。twy脊柱靭帯骨化過程においてオステオポンチンが過剰発現していることが明らかとなり、脊柱靱帯骨化症の発生進展とオステオポンチンの関連が示唆された。
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