研究課題/領域番号 |
11671425
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
富田 勝郎 金沢大学, 医学部, 教授 (00092792)
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研究分担者 |
小林 忠美 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (50313664)
川原 範夫 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (70214674)
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キーワード | 脊椎全摘術 / 脊柱変形 / 脊柱再建 / 脊柱短縮 |
研究概要 |
脊柱短縮が脊髄に与える影響について、成犬を用いて実験を行った。第13胸椎を全摘出し、長軸方向に20mmの脊柱短縮が可能な実験モデルを作成した。短縮に伴い7.2±1.7mmの脊柱短縮までは硬膜および脊髄は上下の脊柱管に滑走し、硬膜及び脊髄は形態的変化を生じなかった。7.2mm〜12.5±1.1mmの脊柱短縮では、硬膜にひだ状の変化が生じたが、脊髄の走行は直線状であった(n=4)。12.5mm以上の短縮では、脊髄のkinkingを生じ硬膜管は脊柱管から背側に突出した。5mm、10mm、15mm、20mmの脊柱短縮における脊髄血流量は、各々短縮前の146±10%、160±21%、102±17%、93±7%であり、5mm、10mmの脊柱短縮時の脊髄血流量が有意に増加していた(n=6)。脊髄血管造影で、脊柱短縮により前脊髄動脈など脊髄栄養血管にかかる長軸方向の牽引がなくなり血管が蛇行している像が観察された。血流抵抗が減少したため脊髄血流が増加したと考えられた。脊髄がkinkingを生じると、その凹側の陥入部で脊髄動脈が圧迫遮断されていた。これが脊髄血流が減少した原因と考えられた。脊髄誘発電位において、脊髄がkinkingを生じた時に振幅増大現象や電位の陽性化などの脊髄障害電位が記録された。また、麻酔覚醒後の後肢機能では、脊髄がkinkingを生じる直前で固定した群(n=4)は、術後麻痺を生じなかった。脊髄がkinkingを生じた群(n=4)は、術後後肢の不全麻痺を生じた。脊髄のkinkingが生じる時点までの脊柱短縮は、脊髄血流量を増加させ脊髄機能の回復に有効であると考えた。
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