研究概要 |
整形外科手術後の炎症マーカーの推移 【対象】 脊椎除圧術のみの(SD群)30例、instrumentationを使用した(SI群)30例、人工股関節置換(THA)36例である。術前、術当日、後1,2,3,4,7,11日、2,4,6週目のCRP、WBC、ESRを調査した。 【結果】 CRPは術後2,3日目で最高値を示した。THA群とSI群はSD群と比較し有意にCRPが高かった。WBCはTHA群とinstrument群は術当日に最高値を示し、SD群では術後2日目に最高値を示した(有意差なし)。ESRはTHA群とSI群は術後3日目に最高値を示し、SD群は術後11日最高値を示した。感染した1例は、術後1週目からCRP、WBCが再び上昇していた。 Instrumentationによるサイトカインへの影響 【対象】 腰部脊柱管狭窄症手術例のうち椎弓切除術(SD群)5例、後側方固定の併用(DF群)5例、SIの併用(SI群)5例を対象とした。術前後、術後1,2,7日目のIL-6、IL-lra、sTNF RIの血中濃度を測定した。 【結果】 IL-6は各群とも術直後から上昇し、術後1日目でピークを示し、7日目で術前に復した。術直後、1日目のIL-6はDF群と比較しSI群で有意に高値を、IL-lraはSI群のみ術直後に術前と比較して有意に高値を示した。また、DF群に比較してSI群で術直後のIL-lraは有意に高かった。sTNFR1は、SD群とSI群で術前と比較して術直後で有意な上昇を示した。SD群とD群は7日目でほぼ術前値まで復したが、SI群では高値を持続した。 【結論】 術後1週間でもCRPの低下傾向がない、または、CRP値が平均+1 S.D.以上を示せば感染を疑う必要がある。また、SIによりサイトカイン血症が助長され、IL-6はCRPのピークより早いため、術後感染を早期に検出できる可能性がある。
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