1.脊椎インストゥルメンテーション手術後の創感染を早期に診断するため、instrumentsを挿入した場合の炎症マーカーの推移を知ることを目的とした。胸腰椎手術でSpinal instrumentsを使用した群と使用しない群(コントロール)の術後のCRP、ESR、WBC、体温を測定した。Spinalinstrumentsを使用した群で有意に術後早期のCRP、ESR、体温が高値を示した。また、説明変数をCRP、ESR、WBC、体温の最高値、目的変数を手術時間、出血量、instrumentsの使用(+1)、未使用(0)として、重回帰分析を行ったところ、CRP、ESR、体温の最高値がinstrumentsの使用、未使用と相関していた。よって、Spinal instrumentsを挿入することによって、術後早期の炎症反応が増強される(SIRS)ことが示された。 2.脊椎インストゥルメンテーション手術後の早期に炎症反応が増強されるが、このことがどのような機序で起こっているのか、また、脊椎インストゥルメンテーション手術後の易感染性の機序を知ることを目的とした。腰部脊柱管狭窄症手術でSpinal instrumentsを使用した群と使用しない群(コントロール)の術後の炎症性サイトカインである、IL-6、IL-8、抗炎症性サイトカインであるIL-10、IL-1ra、sTNFR1、sTNFR2の血清中の濃度を測定した。Spinal instrumentsを使用した群で術後0、1、2日目で有意にすべてのサイトカイン濃度が上昇していた。Spinal instrumentsを挿入することによって、術後早期に高サイトカイン血症(SIRS)を呈することが示された。また、術後7日目のSpinal instrumentsを使用した群で抗炎症性サイトカインであるIL-1ra、sTNFR2が有意に高値を示した。抗炎症性サイトカイン優位の状態はCARSと呼ばれ易感染性を呈するがSpinal instrumentsを使用した群で抗炎症性サイトカインの高値が持続することより、Spinal instrumentation surgeryの易感染性が示された。
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