研究課題/領域番号 |
11671432
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 秀樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60191558)
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研究分担者 |
冨田 哲也 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30283766)
名井 陽 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10263261)
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キーワード | 骨軟部肉腫 / 融合遺伝子 / 滑膜肉腫 / RT-PCR / 予後 |
研究概要 |
担癌患者において治療開始時に遠隔転移の予測を立てることは治療方針の決定上、重要である。一部のユーイング肉腫など固形腫瘍では、患者流血中や骨髄中に存在する腫瘍細胞を遺伝子マーカーを用いて検出できることが報告されており、われわれは滑膜肉腫特異的遺伝子SYT-SSXを用いて患者血液中に腫瘍細胞が検出できないか試みた。SYT-SSXに対する特異的PCRプライマーを2セット作成した。1セットは585bpのPCR産物を増幅し、他の1セットはこの585bpの内側でbreak pointを挟んで212bpの産物を増幅するプライマーである。滑膜肉腫患者血液より単核球分画を採取しmRNA抽出後前者プライマーセットにてRT-PCRを行った。その産物をテンプレートとして第2のプライマーセットでnested PCRを行った。その結果5例中1例の治療前血液中よりSYT-SSX遺伝子転写産物を検出した。この腫瘍を切除したあとは血液中のSYT-SSX遺伝子産物も消失した。この時点でCT等にて肺転移は認められなかったが、その6週後に肺転移が明らかとなった。以上のように、SYT-SSX遺伝子に対するRT-PCR+nested PCRにて血液中の滑膜肉腫細胞が検出可能であった。肺転移の明らかでなかった患者の血液中で滑膜肉腫細胞が検出されその後に肺転移が顕性化したことから、血液中の腫瘍細胞検出は滑膜肉腫患者の肺転移の予測法になりうると考えられた。また、原発腫瘍を切除後に検出できなくなったことより、治療効果判定法に利用できる可能性が示唆された。
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