研究概要 |
研究の進展状況と成果:研究環境を整備して,実際の食事動作でによる本実験まで進む予定であったが,平成12年度の2月までの研究の状況と成果は以下に示すものであった. 1.磁気センサーの精度確認等:空間での位置データはトランスミッター(TM)から70cm以内で誤差1.5cm以内であり非常に正確に3次元空間(X,Y,Z)の位置が検出できることが判った.しかし角度出力(方位角(Az),仰角(El),回旋角(Ro))はセンサーがX,Y,Z軸に直角に成ると値が不安定になる事を発見した.この問題は(TM)の向きをずらす工夫で凌げる事を見いだした.センサー貼付方向も測定軸に並行にすると良いことが判った.2.分析プログラムについて:測定状況調整の仕方に慣れたのでPC(コンピューター)をラップタイプでも使えるようにした.同時に測定用プログラムがVer.3に更新された(測定装置購入時の約束).しかし,この更新プログラムは生データは正しく取り込めているが解析の一部にバグがあることが判明,プログラムの正常化作業が必要となり計測が一時中断した.この作業途上で旧PCのファイルの時間計測にも間違いがあることが判明した.やむなく生データから表計算ソフトで解析するという非能率的なやり方で研究を進めている.3.センサー装着方法の開発:試作した測定用ベストによってセンサー装着は大変容易に出来るようになった.4.前腕回旋制限を加えた実験:殆ど進展できなかった.しかし,前腕の回旋を代償するスプーンと通常のスプーンの動作の比較は行った.その結果,4相からなる食事動作の2相で回旋がやや少なくなることが判ったが,代償は主として手関節と肩関節で行われている事が判った. 今年度の成果を要約すると,1.申し分ない位置データの精度と,精度を保つために角度測定に工夫がいる事の確認,2.生データ(位置と角度)から表計算ソフトで解析ソフトの不備を補う方法の開発(現在も進行中),3.測定ベストの実用性確立,4.食事動作での前腕の動きは手と肩関節で主に代償されていることの確認,等である. 最後である来年度の目標は,主目的である食事動作での前腕の回旋運動制限と肩の動きによる関連性を関係式で表せるように実験を展開し,今までの研究を報告書の形でまとめる事にある.
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